今回の瀬戸内の旅は、なにか考えさせられる旅でもあった。
ちょっとそういうとこも書き残しておこうと思う。

この瀬戸内国際芸術祭、わたしが行ったのは、ちょうどお盆明けで、一番のピークは過ぎていた。
お盆のピーク時は、島を行き来するフェリーに人が乗り切れないくらいで、増便を出すくらいだったんだそうだ。
さぞかし島は盛り上がっていいんだろうな、と思っていたのだけど、
あとで聞いた話では、この祭典を受け入れていない人も多いらしい。
特に、島で育ち、島に誇りを持っている30代くらいの若い人たち。
よそ者が、島の自然の中にアートというものを持ち込み、
どやどやと人が集まり、カフェやらお店が増える。
昔からそこでお店をもっている人たちは、それまでの営みを続けることが困難になる。
島の人々の生活を荒らすことを、快く思っていないのは、
意外にもお年寄りより若い人に多いんだそうだ。
逆に、この機会に期待を寄せている人もいる。
どうしても、島は平均年齢が高い。
安藤忠雄が設計した小学校も、教室が余ってばかりだ、
と地元のおばあちゃんが言っていた。
若い人が積極的に島に来てくれることは、
島に活気が戻ってくる、ということでもある。
また、島を廃れさせないためには、
観光地としても充実させることも大事で、
そのためには、外から人を招いて、客観的な意見をくれる人が必要だ。
と言っている人にも、島で出会った。
直島は、既に現代アートの聖地として有名になったけれど、
ほかの島々はまだまだ人を呼ぶには力が弱いのだ。
何かを手に入れるには、何かを失う。
そうやって、世界は変わっていく。
だからとても、難しい。
この瀬戸内国際芸術祭は、10月いっぱい開催される。
そして、今年を初めとして、3年に1回開催されることになっている。
今年の経験は、これからの島をどう変えていくのだろう。